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2025.2.19

【いばらき県央ふるさとワーホリ通信】山側エリアインタビュー~地元の豊かさを再発見できる二つのカフェ~

※本記事は、総務省が推進する「ふるさとワーキングホリデー」を活用し、いばらき県央地域での2週間の就労や生活体験をした参加者に執筆していただいたものです。

目次:
まちと作家の交差点(まちのベンチ 河又恵太さん)
目の前に那珂川。地元の豊かさを五感で感じて(MERCYʼsCOFFEE 大貫将史さん)

まちと作家の交差点(まちのベンチ 河又恵太さん)

日本茶などをいただきながら、河又さんのお話を聞いている様子
日本茶などをいただきながら、河又さんのお話を聞いている様子

笠間市の日本茶カフェ「まちのベンチ」を営む河又恵太さんは、茨城県県北エリアの北茨城市出身。以前は東京都内で建築関係、神奈川県でお茶の仕事をしていました。

笠間市には地域おこし協力隊として移住し、現在はカフェ運営のほかに、笠間市の移住コーディネーターとして移住希望者に情報を提供したり、相談に乗ったりして、移住促進の活動にも取り組まれています。

実は河又さん、日本茶カフェとしてお店を出しているのですが、本当はカフェ自体が目的ではないのだそうです。

「もともと作家さんの作品を置くことで、初めましての方でもお話しできるような場所を作りたいと思っていました。だから最初は日本茶カフェとして宣伝していませんでした。しかし、気軽に入ってもいい場所なのか、地域の方や周りに伝えていかないと分かってもらえないので、名目上わかりやすい名前を付けているんです」

お店に伺ったときも、入り口からたくさんの興味深い作品が置いてありました。1階の奥の部屋には動物たちのペーパークラフトの大きな作品、2階には作家さんの作業場が広がっていました。

作品はもちろんのこと、特に印象深かったのはDIYされた建物です。面白いのが、物件を探すとき、なるべく暗くて誰も使ってなさそうな空き家を選びたかったとのこと。当時20代という若者の河又さんが、そのような空き家を少しずつDIYして、完成に近づけていくことで、地域の人々に期待感を抱いてもらってこの地域を明るくしたかったという考えがあったのだそうです。

本当に綺麗にDIYされていましたが、至るところにかつての家のなごりがありました。例えば、釘の跡や少し色褪せた壁。以前の塗料や古材などをあえてそのまま残し、新しく取り付けたものと組み合わせることで、古さと新しさが調和した魅力的な空間になっていました。

動物たちのペーパークラフトの作品。その大きさと多方向にボコボコしている感じが面白かったです。
動物たちのペーパークラフトの作品。その大きさと多方向にボコボコしている感じが面白かったです。

そして、なぜ展示する場を提供しているのか尋ねたところ、

「都内で建築やデザインの仕事をしているとき、展示場の貸出の料金が高いことで作家さんの展示の機会を損失してしまうのはどうなんだろうと思っていました。だから『まちのベンチ』では場所代を格安あるいは無料にして、作品の売上の一部を頂いて運営しています。ボランティアって嫌いなんですよね。お互いが得をする仕組みを作りたかったんです。そうすれば作家さんも経済的に苦しくなりづらいと思うし、私も来てくれたお客さんに作家さんの作品の説明をしっかりできますしね」

地域と作家さんを想い、見事に仕事へとつなげている河又さんでした。

日本茶やクラフトコーラも本当においしかったので、作家さんの作品とともにご賞味ください。

目の前に那珂川。地元の豊かさを五感で感じて(MERCYʼsCOFFEE 大貫将史さん)

木の建材が印象的で落ち着く内装。プラモデルも飾られていて、遊び心がありとてもキュートでした。
木の建材が印象的で落ち着く内装。プラモデルも飾られていて、遊び心がありとてもキュートでした。

那珂川大橋のふもとに位置し、地元の食材を使った料理や居心地の良い空間が好評のカフェ「MERCYʼsCOFFEE(マーシーズコーヒー)」を営む大貫将史さん。

茨城県県北エリアの常陸大宮市出身の大貫さんは、東京都の専門学校で舞台美術を学んでいました。小さいころから料理を作るのも食べるのも好きだったそうで、その当時は居酒屋のアルバイトにものめり込んでいたそうです。

また、当時お付き合いしていた方の影響ですっかりコーヒー好きになった大貫さん。

そんなときにたまたま買った雑誌に、大貫さんがコーヒー焙煎術を教えてもらった師匠のレストランが掲載されており、師匠と仲良くなったことがきっかけでそこで働くことになったのだそうです。大貫さんの行動力とコミュニケーション能力の高さに驚きを隠せません。しかし仕事漬けの日々で体調を崩してしまった大貫さん。またお父様が他界されたことも重なり、茨城へのUターンを決めたといいます。

「このまま東京で暮らしていてもと思い、実家に戻ってきました。人生一度きりなので、後悔のないよう自分のお店を茨城で開くことに決めたんです。また、日本全国の古い建築を再利用した古民家カフェを訪ね歩くテレビ番組があるのですが、その番組の芝居臭くてぎこちない感じが好きでいつか出演してみたいと思ったのもきっかけの一つですね」

カフェをオープンするにあたり、本当は古民家を希望されていたそうですが、なかなか良い物件が見つからなかったとのこと。そんな中でたどり着いたのがこの建物。持ち主を探し出し譲ってもらい、建築関係の仕事をしていた中学校の同級生に外観や内装のデザインをお願いし、MERCY’S COFFEEが完成しました。

私たちの質問にズバズバと答えてくださった大貫さん。私も強い芯を持って生きていきたいと思いました。
私たちの質問にズバズバと答えてくださった大貫さん。私も強い芯を持って生きていきたいと思いました。

こうしてこれまでの経験を生かしてお店をオープンした大貫さんですが、ここを地元の良さを再発見する場所にしたいといいます。

「東京で暮らすと何かとお金がかかりますよね。点と点の移動なので空間的なつながりを感じづらく、疲れやすいなと思いました。食材や食器を地産地消にしたのは、東京で暮らして地元がいかに恵まれていたかを思い知ったからなんです。自宅に帰ってくると縁側におすそ分けで野菜が置いてあることも。茨城には東京に持っていくと大きな付加価値が付く納豆やメロン、焼き物もあります。地元の人たちが当たり前だと感じていることも、実は良いものなんだと気づいてもらえたらと思っています」

地元の食材が中心の料理と、お店の目の前に広がる那珂川。周辺の山々と緑あふれるロケーションも相まって地元の豊かさを五感で味わえるのがMERCY’S COFFEEです。

最後に、今後は居酒屋も開きたいと語ってくださいました。

城里町にお越しの際はぜひ訪ねてみてください。

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