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2025.2.19

【いばらき県央ふるさとワーホリ通信】海側エリアの就労体験記~新しい私と「輪」との出会い~

※本記事は、総務省が推進する「ふるさとワーキングホリデー」を活用し、いばらき県央地域での2週間の就労や生活体験をした参加者に執筆していただいたものです。

目次:
株式会社綿引農園について
就労開始~休憩について
大変だった就労を終えて

株式会社綿引農園について

参加者3名と、綿引桂太さん(左)綿引太一さん(中央)
参加者3名と、綿引桂太さん(左)綿引太一さん(中央)

人と人のつながりのきっかけになる、「輪」と「和」を大切にすることを経営理念にしている「株式会社綿引農園」。

那珂市でトマトを中心に施設園芸(ハウス)野菜を栽培している農園で、綿引桂太さんと息子の太一さん親子が経営しています。

また、桂太さんは、「フェルミエ那珂」というアグリビジネス組織の会長も担っています。那珂市産農畜産物のPRや地産地消の推進を目的に、定期的にマルシェやマッチングフェアを開催して、農家が消費者や取引事業者に直接商品のことを伝えられる場を作っているそうです。

今回私は、綿引農園で就労し、綿引さんが普段販売している野菜の育成に、3日間携わらせていただきました。

就労開始~休憩について

桂太さんに仕事を教わっている様子
桂太さんに仕事を教わっている様子

1日目はキュウリの誘引(ゆういん)、2日目と3日目はトマトの葉切りを中心に行いました。

誘引とは、植物の成長に応じて、茎や葉を支柱やネットに固定し、植物を伸ばしたい方向へと誘導して、形を整える作業です。絡み合っているキュウリのつるをほどき、テープナーという誘引のための機械で固定していくのですが、植物も人間のように、成長に個体差があり、一つひとつ伸び方が異なります。そのため、つるを固定させる位置の判断が難しかったです。また、テープナーをうまく扱えるようになるまでも、非常に時間がかかりました。

私たちが誘引をしている近くで、桂太さんも黙々と作業をしていたのですが、段違いにペースが速く、圧倒的な経験の差を感じました。

それもそのはずで、キュウリのつるは伸びるのが早いため、この作業は4日に一回ほどのペースで行っているそうです。

キュウリの誘引をしている様子
キュウリの誘引をしている様子

キュウリの誘引の途中、午前の休憩時間をいただきました。綿引農園では、午前の休憩時間は必ず、その日出勤している全員が一か所に集まり、お菓子を食べたり、冷たい飲み物を飲んだりしながら談笑するそうです。

午後にも休憩時間はあるのですが、午前で仕事が終わり帰ってしまう人や、配達中の人もいて、全員が揃わないため、午前中は必ず集合して顔を合わすとのこと。綿引農園はパートさん8人程と、今回は近隣の実習生を迎えて仕事をしているため、休憩時間は非常に賑やかでした。

私たちも話に混ぜてもらい、色んな話をすることができました。みなさんのリアクションがよくて、話をするのがとても楽しかったです。就労1日目は、綿引農園でたまたま野良猫を保護したらしく、猫の話題で持ちきりでした。

また、休憩時間は世間話だけでなく、配達に行ったときに声をかけてもらってうれしかった言葉やうれしかった出来事の共有もしていました。特に、妊婦さんに「食欲がなかったけど、綿引さんのトマトは美味しくて食べられる」と言ってもらえた話と、それを聞いた皆さんの幸せそうな笑顔は印象的で、その場が一気に和やかな雰囲気になり、「輪」を感じました。

大変だった就労を終えて

トマトの葉切りをしている様子
トマトの葉切りをしている様子

キュウリの誘引がすべて終わったあとは、トマトの葉切りを行いました。これは上部の葉に新鮮な栄養を配給できるように、下部の古い葉を取り除く作業です。葉切りを行うと、実にしっかり栄養がいき、立派なトマトが育ちます。

作業は、お尻にぴったりはまるくらいの小さな椅子に座り、少し前屈みになりながら、切断する葉を判断して、丁寧に慎重に削いでいきます。この作業の姿勢が想像よりもつらく、思い出しただけでも足腰が痛くなってきます。この作業を何十年もしている綿引さんたちを、心から尊敬しました。この作業は、太一さんが丁寧に教えてくださり、かなり早いペースで進めることができました。終盤はパートさんがサポートに来てくださったおかげで、予想よりも遥かに作業が進んで、目標としていたところまで作業を終えることができました。

9月半ばのハウス内作業は、蒸し暑さがありましたが、不意に吹く風が気持ちよくて、自分でも驚くくらい作業に没頭していました。葉切りが済んで涼しげになった茎や、茎から切り取って積まれた葉で、かごが埋まっていく様子を見ることで、達成感を感じ、モチベーションも保たれたので、与力を残さず最後までやりきることができました。

ハウス内のほとんどの葉切りを終えた様子
ハウス内のほとんどの葉切りを終えた様子

また、私は作業を終えた手から、葉っぱの爽やかですっきりとしたミドリの匂いが漂ってくることが好きだったので、またその匂いを感じたいと思い、家に帰ってから、母の家庭菜園を手伝うことが増えました。

今回、2つの仕事をさせていただいて、美味しい作物を育てるには手間がかかるということを改めて実感しました。また、普段スーパーで並べられている、成長後の野菜しか見る機会がなかったため、成長の過程を間近で見れたことは、とても勉強になりました。

綿引さんは、「寒い時期にも美味しい野菜をみんなに届けたい」という想いから、一年中通して野菜の栽培をしているそうです。

そんな綿引さんの熱い想いが詰まった野菜を食べてみたい方は、那珂市の直売所や、いぃ那珂マルシェに足を運んでみてください。

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